ひろすけ童話賞受賞作品

  

第28回ひろすけ童話賞(平成29年度)

『せなかのともだち』 作・萩原弓佳 /  PHP研究所

あらすじ

ハリネズミは崖から飛び出して、ヒツジの背に落ちてしまいました。

動けば動くほどハリネズミのハリとヒツジの毛はからまり、誰かにたすっけてもらわなくては取れそうにありません。ところが、いつも不機嫌で偉そうにしているふたりは、毛とハリを取ってほしいとお願いするどころか、命令したり怒ったりしてしまい、誰にも相手にされません。

仕方なくふたりは背中をくっつけあって旅を続けます。歩くたび、少しずつハリネズミの体は、ヒツジの毛の中にもぐりこんでいきました。

ヒツジの毛に埋もれて水も飲めなくなったハリネズミが弱りはじめたとき、ようやくふたりはこれまでの自分勝手な行動を振り返り、反省します。

そして通りがかったうさぎに、素直に助けを求めることができ、うさぎが呼び集めた仲間たちの手によって、ヒツジの毛が切られ、ハリネズミは地面に降り立つことができました。


受賞者プロフィール

1971年、大阪府生まれ。兵庫県在住。『はじめての握手』で第16回創作コンクールつばさ賞童話部門優秀賞を受賞。2016年『せなかのともだち』(PHP研究所)と改題、デビュー作となる。著書に『ラストで君は「まさか!」と言う予知夢』。『ラストで君は「まさか!」と言う 時のはざま』(PHP研究所)がある。日本児童文芸家協会会員。童話サークルわらしべ会員。

受賞者のことば

このたびは第28回ひろすけ童話賞に『せなかのともだち』を選んでいただきありがとうございました。選考委員、関係者のみなさまに心より感謝申し上げます。

この作品は私のデビュー作です。はじめて書店に並んだ自分の書籍ということで、とても愛着のある作品でしたが、今回さらに栄誉ある賞をいただき、感動もひとしお、ますます大切な存在となりました。今後は「デビュー作が作家人生のピーク」とならないように、ますます精進していきたいと思います。