ひろすけ童話

浜田広介は50余年の間に約1,000編もの童話や童謡を世に送り出しました。

その中から代表される「泣いた赤おに」「りゅうの目のなみだ」「むくどりのゆめ」をご紹介します。

泣いた赤おに

ある山のがけのところに、人間と仲良くなりたいと願う赤おにが住んでいました。

ところが村人は怖がって誰も近寄ろうとはしません。

親友の青おにが、「そんなことかい、こうすりゃかんたんさ。ぼくがふもとの村におりていく。そこでうんとこあばれよう」自分が村に行ってあばれているところに赤おにが助けに来ればよいというのです。戸惑いながらも赤おには従い、二人は実行します。

やがて、赤おにがやさしい鬼だとわかった村人は、毎日入れ代わりで遊びにやってきます。願いがかなった赤おにですが、それ以来一度も来なくなった青おにのことが気になり、家を訪ねました。

家の前には、張り紙がしてありました。

キミト ツキアイヲ ツヅケテイテハ ニンゲンハ キミヲ ウタガウ コトガ ナイトモ カギリマセン

…中略…

ソウ カンガエテ ボクハ コレカラタビニ デル コトニ シマシタ

…中略…

ドコマデモ キミノトモダチ アオオニ

 

赤おには涙を流して泣きました。


りゅうの目のなみだ

目がらんらんと光っていて、口は耳まで裂けているー

誰もが恐れるりゅうをちっと

も怖がらない子どもがいました。子どもは自分の誕生日に「山のりゅうをよんでよ」と言って、りゅうを探しに出かけます。

深い山奥の洞窟にりゅうはいました。そして子どもは「ぼくは おまえさんを にくみはしない いじめはしない。もしも だれかが かかってきたら いつだってかばってあげる」と呼びかけます。

思いかけない優しい言葉にりゅうは涙を流し、その涙は大きな川になります。りゅうは船となり、背中に子どもを乗せ、子どもの町へと向かいました。

むくどりの夢

広い野原のまんなかの、古い栗の木のほらに、むくどりの子はお父さん鳥と住んでいました。むくどりの子は「お母さんはいつ帰ってくるの?」とたずねます。かあさん鳥はいくら待っても帰っては来ませんでした。やがて、冬が来て栗の木には、たった1枚の葉が残されました。風でカサコソカサコソと鳴る葉音がかあさん鳥の羽の音に思われて、いとおしく思いました。

雪の降ったある晩、むくどりの子は夢を見ました。母さん鳥が白い鳥になってやってきたのです。次の日の朝、一枚の葉に白い雪が積もっているのを見て、あれはこの葉だったかもしれないと思うのでした。