ひろすけ童話賞受賞作品

  

第30回ひろすけ童話賞(令和元年度)

『ふでばこから空』 作・北川チハル / 文研出版

あらすじ

 ゆいは小学2年生。ある日、となりの席のしろうくんの筆箱のふたが開いた瞬間、筆箱の上に小さな空ができて、白い雲が浮かんでいるのを見てしまう。でも、しろうくんは、ゆいが見たのは空ではなく、筆箱の中に入っているキャベツの葉だという。キャベツの葉にはチョウのサナギがついていた。しろうくんは、田舎のおばあちゃんが作った竹編細工の筆箱で、チョウのサナギを飼っていたのだ。おばあちゃんは、チョウにまつわる少しふしぎな話をしろうくんに聞かせていた。しろうくんはそのとき、おばあちゃんに「うそつき」と言ってしまったことを悔やんでいた。あやまりたいと思うしろうくんだが、おばあちゃんは病に倒れている。しろうくんの気持ちを知ったゆいは、羽化しても、なかなか筆箱から飛びたたないチョウを見て、しろうくんといっしょに祈る。二人の思いがひとつになったとき、筆箱から青い空が広がり、ついにチョウが飛びたった――。

受賞者プロフィール

1971年愛知県生まれ。京都府在住。保育士を経て作家になる。『チコのまあにいちゃん』(岩崎書店)で2003年児童文芸新人賞。『えっちゃんええやん』(文研出版)、『たびいえさん』(くもん出版)、『おねえちゃんってふしぎだな』(あかね書房)、『かわいいかわいいだーいすき』(アリス館)他作品多数。絵本ライブ、子育て・子ども読書支援等実践。日本児童文芸家協会理事。絵本教室アミーニ講師。朝日放送テレビ番組審議会委員。

著作リスト

チコのまあにいちゃん (岩崎書店)
そらいろマフラー (岩崎書店)
空のくにのおまじない (文研出版)
パーティーがはじまるよ (岩崎書店)
きらちゃんひらひら (小峰書店)
まほうのケーキをつくりましょ(岩崎書店)
うちゅういちのタコさんた (国土社)
ふたごのあかちゃん (ひさかたチャイルド)
もうすぐってどのくらい?(岩崎書店)
わたしのすきなおとうさん (文研出版)
はなちゃんのはなまるばたけ(岩崎書店)
2さい-6さい あいうえおしましょ!(学研プラス)
まどのおてがみ(文研出版)
ふたごのあかちゃんとにげたとら (ひさかたチャイルド)
おねえちゃんってふしぎだな (あかね書房)
まねまねひるね(岩崎書店)
いちねんせいがあるきます! (ポプラ社)
いちねんせいのいたーだきます! (ポプラ社)
いちねんせいのよーい、どん!(ポプラ社)
いちねんせいがうたいます! (ポプラ社)
ハコくん (WAVE出版)
いないいないおかお (アリス館)
みてみておてて(アリス館)
ともだちのまほう (あかね書房)
たびいえさん (くもん出版)
えっちゃんええやん (文研出版)
かわいいかわいいだーいすき
ふでばこから空 (文研出版)

受賞者のことば

ひろすけ童話賞という憧れの、最高の賞をいただきましたこと、まだ驚きのなかにいます。ただ、童話の神様の大きな励まし、深い愛にふれたようなよろこびも感じています。今日を生きるこどもたち、明日生まれくるこどもたちの心を見つめ、これからもずっと、こどもたちのそばで、希望の光となるような幼年童話を書きつづけていきたいです。私を支えて下さっているすべての皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。