ひろすけ童話賞受賞作品

  

第32回ひろすけ童話賞(令和4年度)

『だいじょうぶくん』 作・魚住直子 / ポプラ社

あらすじ

  新学年、そうたはクラスになかなか友達ができない。ある日、リサイクルショップでカピバラのようなぬいぐるみと出会った。名前は「だいじょうぶ」くん。だいじょうぶくんは、ひとと話すことができて、子どもの笑顔が大好き。「ぬいぐるみじゃなくても、大切にされたものは話せるんですよ。つやつやとした丸い目がついていればね」と教えてもらったそうたは、なくなったボールを探し出し、昼休みにみんなと遊ぶことができた。
 次の日、だいじょうぶくんが何者かに連れ去られる。友達になったママくんと一緒に、あやしい男を追いかけ、傷ついただいじょうぶくんを見つけた。その後、だいじょうぶくんの持ち主のまりちゃんも探し、だいじょうぶくんはまりちゃんのもとに無事、戻れた。その話を聞いてママくんも喜んでくれた。
 ママくんは本当はママと呼ばれたくない。そうたはだいじょうぶくんの言葉を思い出しながら、友達のために勇気を出す。

受賞者プロフィール

1966年福岡市生まれ。生後すぐ父の転勤で広島県佐伯郡五日市町(現広島市)に転居。その後山口県防府市、広島市等で育つ。広島大学教育学部心理学科卒業。1995年『非・バランス』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。『Two Trains』(学研)で小学館児童出版文化賞、『園芸少年』(講談社)で日本児童文学者協会賞を受賞。東京都品川区在住。

ー著作リストー

非・バランス(講談社)
超・ハーモニー(講談社)
海そうシャンプー(学研)
象のダンス(文庫で『未・フレンズ』と改題)(講談社)
ハッピーファミリー(学研)
リ・セット(講談社)
オレンジソース(佼成出版社)
バスとロケット(佼成出版社)
Two Trains とぅーとれいんず(学研)
ピンクの神様(講談社)
園芸少年(講談社)
大盛りワックス虫ボトル(講談社)
クマのあたりまえ(ポプラ社)
いろはのあした(あかね書房)
てんからどどん(ポプラ社)
いいたいことがあります!(偕成社

みかん、好き?
考えたことなかった(偕成社)

受賞者のことば

きれいごとでもホラーでもなく、子どもが笑っていると、あたりが明るく光って見えます。子どもが幸せじゃない社会は、誰も幸せになれるはずがない、といつも思います。そんな気持ちをぬいぐるみのだいじょうぶくんにこめて、この本を書きました。中学のときに買った新潮文庫の「浜田広介童話集」を今も大切に持っています。息をするように、ごく当たり前にやさしいひと、やさしいいきものたちのお話が大好きでした。四十年後、ひろすけ童話賞をいただけるとは、とてつもない幸せです。本当にありがとうございました。