ひろすけ童話

浜田広介は50余年の間に約1,000編もの童話や童謡を世に送り出しました。
その中から代表される「泣いた赤おに」「りゅうの目のなみだ」「むくどりのゆめ」をご紹介します。

また浜田広介全集(集英社1975-1976年)掲載作品を下記PDFでご覧いただけます。

※ひろすけ童話感想文感想画全国コンクールにご応募の際は、下記作品リストで区分が「童話」の作品のみご応募いただけます。不明な点がございましたら、浜田広介記念館までお問い合わせください。

泣いた赤おに

ある山のがけのところに、人間と仲良くなりたいと願う赤おにがすんでいました。そこで、じぶんの家の前に、木のたてふだを立てました。「ココロノ ヤサシイ オニノ ウチデス。 ドナタデモ オイデ クダサイ。」ところが、人間たちは赤おにを見ると、こわがってにげだしてしまいました。親友の青おには、じぶんが村にいってあばれているところに、赤おにが助けにくればよいと提案します。とまどいながらも赤おには従います。そのあと赤おには、村人と仲良くなりますが、青おにのことが気になりました。


りゅうの目のなみだ

目がらんらんと光っていて、口は耳までさけている——だれもがおそれるりゅうのことを、ちっともこわがらない男の子がいました。こわがるどころか、みんなにきらわれてかわいそうだと泣きました。そして、じぶんのおたんじょうびに「りゅうをよんでよ」と言って、りゅうをさがしにでかけます。子どもは、丘をこえて、歩きつづけてとうとう山につきました。「山のりゅう、山のりゅう。」子どもは、ありたけの大きなこえでよびたてました。「だれだろう。おれをよぶとは。」りゅうはほらの穴から、のろのろと、はいだしました。

むくどりの夢

ふるいくりの木のほらに、むく鳥の子がとうさん鳥とすんでいました。むく鳥の子は、「まだ、おかあさんは、かえってこないの。」とたずねます。「ああ、もうちっと、まっておいで。」とうさん鳥はこたえます。しかし、かあさん鳥はいくらまってもかえってはきません。やがて冬がきて、くりの木にはたった1枚の葉がのこされました。「かさこそ、かそこそ…。」どうやら羽のすれあうような音でした。「おとうさん。おかあさんが、かえってきたよ」子どものむく鳥は、こっそりとほらの出口にいってみました。