ひろすけ童話賞受賞作品
第33回ひろすけ童話賞(令和5年度)
『やまの動物病院』 作・なかがわちひろ / 徳間書店
あらすじ
山のふもとの小さな町に、小さな動物病院がありました。
小さな町なので、患者の動物はあまり来ません。まちの先生は診察室で、よくいねむりをしていました。猫のとらまるも、ごろごろにゃむにゃむ。
ところが夜になって、まちの先生が眠ってしまうと、猫のとらまるは「さあ、しごとだ!」と働きはじめます。
コンコンがとまらない子ギツネ、穴をほりすぎて手がガサガサになったモグラ、口に木の実をつめこみすぎて口内炎になったリス……。次々に診察室の奥の猫扉からやってくる山の動物たちの病気やケガを治してあげるのです。
とらまる先生、なかなかの名医!
人の暮らしと、山の暮らしが接するところには、ちょっとふしぎな物語がありそうですね。
受賞者プロフィール
1958年生まれ。東京藝術大学卒業。子どもの本の翻訳者・作家・画家として絵本や幼年童話、児童文学の分野で活躍中。『どうぶつがすき』(あすなろ書房)で日本絵本賞翻訳絵本賞、『天使のかいかた』(理論社)で日本絵本賞読者賞、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』(偕成社)で野間児童文芸賞を受賞。創作絵本に『のはらひめ』(徳間書店)、幼年童話に『すてきなひとりぼっち』(のら書店)、『カッパのぬけがら』(理論社)等作品多数。
ー著作リストー
<翻訳+絵> 『ふしぎをのせたアリエル号』(徳間書店)、『魔女のこねこゴブリーノ』(福音館書店)
<翻訳>『せかいでいちばんつよい国』(光村教育図書)、『アナベルとふしぎなけいと』『どうぶつがすき』(あすなろ書房)、『おばけのジョージーおおてがら』『きょうりゅうきょうりゅう』(徳間書店)
<絵本の文章>「おたすけこびと」シリーズ(徳間書店)、「プリンちゃん」シリーズ(理論社)
<創作絵本>『のはらひめ』(徳間書店)、『ことりだいすき』(偕成社)、『おじいちゃんちでおとまり』(ポプラ社)
<創作絵童話>[天使のかいかた」「カッパのぬけがら」(理論社)、「すてきなひとりぼっち」(のら書店)、「おとな体験授業」(アリス館)
<創作読み物>「かりんちゃんと十五人のおひなさま」「まほろ姫とブッキラ山の大テング」(偕成社)
受賞者のことば
わたしは10歳のときに関東平野から仙台に引っ越しました。
その日から、遠くに奥羽山脈をながめる暮らしがはじまったのです。
山は恵みにみちた魅力的なところですが、恐ろしくもあり、人の力の及ばない領域をうっすらと感じさせるものでもありました。
ひろすけ童話もくりかえし読みましたから、のちに日本の風土にねざした物語をかきたいと思うようになったのは、この頃の礎があったからにちがいありません。
ご縁をひとしお嬉しく感じています。