『きみひろくん』　作・いとうみく　／　くもん出版

あらすじ

　小学校2年生のぼくには、きみひろくんという友だちがいる。ぼくの家のむかいのアパートに住むきみひろくんは、スポーツも勉強もできる優等生で、同級生だけでなく、保護者や先生までもが、彼のことを大好きで、尊敬している。でも、そんなきみひろくんには、「ぼくにだけうそをつく」という、ちょっとこまったところがある。きみひろくんのうそは、だれも傷つけないし、ちょっと笑っちゃうようなうそだから、ぼくはいちいち、指摘なんかしなかったけれど、ある日「ぼくのお母さん、ほんとうのお母さんじゃないんだ」という、ほんとうなのか、うそなのか、わからないことをいいだしてしまった。
　満月の夜に「公園の土管をくぐって、アメリカにいるお父さんに会いに行く」というきみひろくん。きみひろくんのことが心配で、ひとりで行かせられないと思ったぼくは、いっしょに夜の公園にむかう。アメリカに行くために、土管のなかに入ったぼくときみひろくんは……。

受賞者プロフィール

神奈川県生まれ。2012年に『糸子の体重計』(童心社)でデビュー。同作で第46回日本児童文学者協会新人賞、『空へ』(小峰書店)で第39回日本児童文芸家協会賞、『朔と新』(講談社)で第58回野間児童文芸賞、『羊の告解』(静山社)で第36回うつのみやこども賞受賞。『二日月』（そうえん社）、『チキン！』（文研出版）、『天使のにもつ』（童心社）が青少年読書感想文全国コンクール課題図書となる。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

著作リスト

『糸子の体重計』(童心社)
『かあちゃん取扱説明書』（童心社）
『まよなかのほいくえん』（wave出版）
『5年2組横山雷太、児童会長に立候補します！』（そうえん社）
『空へ』(小峰書店)
『ていでん☆ちゅういほう』(文研出版)
『二日月』(そうえん社)
『キナコ』（PHP研究所）
『アポリア　あしたの風』(童心社)
『チキン！』(文研出版)
『ねこまつりのしょうたいじょう』(金の星社)
『ひいな』（小学館）
『カーネーション』（くもん出版）
『にいちゃんのなみだスイッチ』（アリス館）
『唐木田さんち物語』（毎日新聞出版）
『きょうはやきにく』（講談社）
『すてきな３K』（講談社）
『ぼくはなんでもできるもん』(ポプラ社)
『ぼうけんはバスにのって』(金の星社)
『ぼくらの一歩』（アリス館）
『トリガー』(ポプラ社)
『天使のにもつ』(童心社)　
『羊の告解』（静山社）
『大渋滞』（PHP研究所）
『きみひろくん』(くもん出版)
『朔と新』(講談社)　
『まいごのしにがみ』（理論社）
『ごきげんな毎日』（文研出版）
『1ねん１くみの女王さま』（学研）
『あしたの幸福』（理論社）
『つくしちゃんとおねえちゃん』（福音館）
『あおぞらこども食堂へようこそ』（ポプラ社）
おねえちゃんってシリーズ（岩崎書店）
『おねえちゃんって、もうたいへん！』『おねえちゃんって、ほーんとつらい！』
『おねえちゃんって、いっつもがまん!?』『おねえちゃんって、まいにちはらはら！』
『おねえちゃんって、すっごくもやもや！』『おねえちゃんって、きょうもやきもき！』
『おねえちゃんって、ときどきせのび！』
車夫シリーズ(小峰書店)
『車夫』『車夫２』『車夫３』

受賞者のことば

思いがけない受賞の知らせに、ここしばらく落ち込んでいた気持ちがぱっと華やぎました。人って単純なのか複雑なのか、よくわかりません。不安なことがあると気持ちだけでなく、体調まで崩してしまうことがあるし、嬉しいことがあると、痛かったはずの肩だって、すんなりあがってしまったり。子どもも同じように、単純で複雑です。そんな人間の見えにくい部分を物語にしたこの作品を評価していただけたことに、心から感謝申し上げます。